和田先生
こんにちは.

今回はまず,前回求めた式(19)を使って,のこぎり波のグラフを描いてみましょう.T = 0.25 s として,n = 100 までの和としてグラフを描いてください.
こっしー君
はい,このようになります.
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ギブス現象

和田先生
もとの関数が連続でないので,周期 T = 0.25 s のちょうど真ん中(0.125+nT)で,ひげのようなものが見えます.これは,ギブス現象(Gibbs phenomenon)と呼ばれています.

この現象は,正弦関数・余弦関数という連続関数の級数による,不連続関数の近似ということの困難が現れたものと言えます. n 次部分和が大きく振動し,その値が近似する関数の値より大きくなったり,小さくなったりしてしまいます.これは,不連続点近傍で,フーリエ級数が一様収束しないからであると示されています.この超過量は,部分和の項数をいくら増やしてもなくならず,ある有限極限値に近付きます.
こっしー君
その値は,

      (20)

となり,

      (20)

なので,片振幅の約17.898%の誤差になります.
和田先生
結構大きいですね.ギブス現象に関しては,いろいろな改善方法が提案されていますが,ここでは触れずにおきます.

外力がのこぎり波の運動方程式

和田先生

前回の式(1)式(19)およびF(t) の式より,解くべき微分方程式は,

   

      (22)

ということになりました.

これで,解くべき方程式が導けました.解いてみてください.
こっしー君
今回の外力も,式(22)を見ると,正弦関数の重ね合わせになっています.これにより,以前の「振動現象の,自己と”ちょっと変わった”他者」と同様に,解 x(t) も重ね合わせになっていると考えます.すなわち,

      (23)

となっていることを使います.このことは,以前の「振動現象の,自己と”ちょっと変わった”他者」と同様に,共振という現象をうまく説明することができます.後ほど,試みます.
和田先生
ではやってみましょうか.
こっしー君
式(23)より,項別微分して,

      (24)

      (25)

式(23)(24)(25)より,

   
      (26)

 
   
      (27)

従って,各 n∈N∪{0}Nは自然数全体)に対して,

      (28)

ここで,

      (29)

      (30)

とおきますと,式(28)は,

      (31)

となり,以前の「振動現象の,自己と”ちょっと変わった”他者」と同様に解けることになります.
和田先生
やってみてください.

斉次解

こっしー君
まず,斉次方程式を解きます.斉次解x_{nn}\(t\) とすると,

      (32)

このタイプは,「振動現象をつむぐ,中学校の数学」でやりました.

式(32)の両辺をmで割って,

      (33)

となります.ここで,

      (34)

でした.

式(33)より,特性方程式

      (35)

において,0<ζ<1 の場合は,AB を定数として,

      (36)

でした.
和田先生
次に,特殊解を求めてください.

特殊解

こっしー君
式(31)において,特殊解を x_{np}\(t\) とすると,以前の「振動現象の,自己と”ちょっと変わった”他者」と同様にして,

      (37)

   
           (38)
和田先生
ここで,少し,式を見やすくしましょう.同じく,やってみてください.
こっしー君
はい.

      (39)

とおくと,

     (40)

よって,式(38)は,式(29)式(40)より,

   
          
        
              (41)

三角関数の合成を行うと,

   
            (42)

となります.ここで,

      (43)

です.ただし,-π≦β_n≦0 です.
和田先生
さあ,一般解が出ますね.
次回は,一般解を求めるところからにしましょう.
こっしー君
わかりました.
次回もよろしくお願いします.
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和田先生のプロフィール

3pr_wada_sp

TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.

こっしー君のプロフィール

越田さん120

TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.

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