TMCシステムの研究開発担当・こっしーです.
今回は,「はじめに」と題しまして,我々が取り組んでいる「電気接点の劣化現象」の研究の必要性についてお伝えいたします.
「電気接点の劣化現象」の研究の必要性
近年,身の回りの電気・電子機器は増える一方にあるように思われます.
電気・電子機器の中には,必ず電気接点が存在しています.電気接点とは,スイッチなどで電気回路を導体の接触・離脱により直接開閉し電流を断続させる部品のことをいいます(動接点).広義では,コネクタなどの接触部品(静接点)のことも含みます.
電気接点を含む身近なものの中で,ハイブリッドカー,車載機器,携帯電話・スマートフォン,モバイル機器などは振動環境下にさらされます.このような電気接点の場合,振動が劣化の原因の一つと考えられます.
振動による電気接点の劣化プロセスは,図1に示すように,次のようなものと考えられます.振動が接点の接触力変動を起こし,微小な摺動が起きます.それにより接触面などが変質し,酸化物などが堆積します.それが電気抵抗の増加につながり,電気接点の劣化にいたります.
図1: 振動による電気接点の劣化プロセス
電気接点により信号を伝達する場合,イベント時に電圧が上がりオンになるもの(図2a)と,電圧が下がりオフになるもの(図2c)があります.電気接点が劣化すると,イベントが起きていないのに電圧が上がりオンの状態になってしまったり(図2b),イベントが起きても電圧が下がらずオフの状態にならなかったりします(図2d).また,電気抵抗が上がり発熱することもあり(図3),発火にいたることもあり得ます.
図2: 電気接点の劣化時の影響
図3: 電気接点が焦げた様子
このため電気接点の劣化は,ときには動作異常や発火による重大な事故に発展することもあります[1][2].そのため,電気接点の劣化現象の研究は極めて重要なものであるといえます.
参考文献
こっしーのプロフィール
TMCシステムの研究担当者,電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.