基本単位とは
前回は,物理学における「大体」を大事にする方法についてお話しました.
自然を対象とする物理学では,「形」においても「数」においても,「大体」で考えるとうまくいくことがあります.
特に理系の大学生にとっては「単位」は二重の意味で重要ですね.
今日のお話は,こちらの「単位」ではないですよね?
国際単位系(SI)では,7つの基本単位を組み合わせて組立単位の定義を行います.
SI基本単位は次のとおりです.
基本単位 | ||
---|---|---|
量 | 単位の名称 | 単位記号 |
時間 | 秒 | s |
長さ | メートル | m |
質量 | キログラム | kg |
電流 | アンペア | A |
熱力学温度 | ケルビン | K |
物質量 | モル | mol |
光度 | カンデラ | cd |
問題:
物理量を表す単位は,最低いくつ必要でしょうか?
そして,その単位は何でしょう?
の答えですが,一般的にはこの基本単位のことを指します.
すなわち,正解は7個です.
また,その単位は「基本単位」の表のとおりです.
また,力学関連のお話をするときは,最初の3つ(時間・長さ・質量)の単位が最低限必要です.
電磁気学のお話をするときには,これに電流が,熱力学のお話には熱力学温度が必要になってきます.
単位の正確な定義は,計量標準総合センターのWebページ内の「国際単位系」《邦訳 第8版SI文書》などに記載されていますので,参考にしてください.
組立単位とは
国際単位系(SI)では,あらゆる単位は 7つの単位から構成されています.これを国際単位系(SI)では基本単位と呼んでいます.
これ以外は組立単位といいまして,基本単位の組み合わせで構成します.
こっしー君,例を出してもらえますか?
たとえば速度は,距離÷時間なので,
距離の次元を[L]とし,時間の次元を[T]としますと,
速度の次元=
と表せます.
よって単位は,メートル毎秒
加速度は,速度÷時間なので,
加速度の次元=
ですね.
よって単位は,メートル毎秒毎秒
質量の次元を[M]としますと,
力の次元=
となります.
よって単位は,キログラムメートル毎秒毎秒
力に関しては,よくニュートン[N]が用いられますが,[N]は
このように基本的には,[T],[L],[M]で間に合うことになりますね.
エネルギーの単位はどのように構成されますか?
エネルギーの次元=
となります.
よって単位は,キログラム平方メートル毎秒毎秒
エネルギーにも別の呼び名がありまして,ジュール[J]が用いられます.これも組立単位となります.
また,仕事はエネルギーと同一次元です.
仕事率は,エネルギー÷時間なので,
仕事率=
となります.
よって単位は,キログラム平方メートル毎秒毎秒毎秒
仕事率にも別の呼び名がありまして,ワット[W]が用いられます.同様に組立単位です.
さて,次回は私も愛用している便利な公式集をご紹介しますよ.
そして,今回もひとつ宿題を出しましょう.
問題:
公式を忘れてしまい,公式集もないとき,私はある方法を使います.
その方法とは何でしょうか?
正解は次回のゼミナールでお話します.
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和田先生のプロフィール
TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.
こっしー君のプロフィール
TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.
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