強制振動と時系列波形

和田先生
こんにちは.
前回の式(55)(60)(61)は複雑で,ここから振動の様子をうかがい知ることは,簡単ではありませんので,各パラメータに数値を代入してグラフを描いてみましょう.
こっしー君
はい.用いるパラメータは,以前の「振動現象の,自己と他者」で用いたものを使います.すなわち,固有角振動数 ω_0減衰比(減衰係数比)ζ対象物の質量 m を以下の場合について考えます.すなわち,

      (62)

      (63)

   .  (64)

これは,前回の式(34)より,

   
              (65)

      (66)

であることを表します.
このとき,外力の角振動数 を以下の場合について考えます.

   (I) 

   (II) 
   
   (III) 

   (IV) 
   
   (V) 

初期条件(前回の式(56))は,同様に,

   

とします.

そして,以前(「振動現象の,自己と他者」)同様,各条件下での変位 x(t) の時系列変動を示します.

各角振動数 ω を持つ周期的外力 F(t) の力学系への影響が,系の振動にどのように表れるかがわかります.系の持つ固有角振動数は,いわば,自己の個性のようなものであると考えると,自己以外の他者の働きかけが,自己にどのような影響を及ぼすのかが分かるような気がしてきます.
和田先生
それでは,前回の式(55)(60)(61)を用いて,おのおのの外力の角振動数に対して,変位 x(t) を描いてみましょう.

こっしー君お願いします.
こっしー君
前回の式(55)において,各 ω における外力が三角波のときの,変位 x(t) の時間変動を図示します.

(I) 

ω = 1000 rad/s の x(t)

(II) 

ω = 5000 rad/s の x(t)

(III) 

ω = 10 000 rad/s の x(t)

(IV) 

ω = 15 000 rad/s の x(t)

(V) 

ω = 20 000 rad/s の x(t)
和田先生
ありがとうございます.特徴をまとめてください.
こっしー君
共通して言えることは,初期のうちで(15–20 ms あたりまで),前回の式(55)の第1項にあたる自由振動項の影響がみられますが,後半以降では減衰して見られなくなります.ところが,(III) の場合はさらに様子が異なり,前半で大きく振幅が増加していくところが見て取れます.これは,「振動現象の,自己と他者」において示したものと同じく,共振現象と呼ばれており, のとき外力の角振動数 ω と固有角振動数 ω_0 が近くなったときにおこる現象です.三角波入力における出力波は,正弦波入力の場合とよく似ているといえると考えます.
和田先生
今回は,この辺にしておきましょう.次回は,外力が周期関数ですが,正弦波の単純な組み合わせでは表せない場合の次の例,のこぎり波(鋸歯状波:きょしじょうは)についてお話しいたします.この場合も,フーリエ級数展開によって外力波形を表現します.
こっしー君
次回も,よろしくお願いします.
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和田先生のプロフィール

3pr_wada_sp

TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.

こっしー君のプロフィール

越田さん120

TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.

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