振動現象を簡単な微分方程式で表現する!?

和田先生
前回は,中学校で登場する「二次方程式」のお話をしました.忘れていた方は思い出していただけましたか.肩慣らしとなりましたでしょうか.
第2回は,振動現象を簡単な微分方程式で表してみたいと思います.こっしー君は数学が得意でしたので,道案内をお願いします.
こっしー君
わかりました.できるだけわかりやすくやってみます.

物体に外力を加えると,物体の性質によってその反応がきまります.
大まかには,加速度に比例した成分速度に比例した成分変位に比例した成分に区分けできます.質量に関係した成分粘性に関係した成分弾性に関係した成分と言い換えることができます.
この関係を1自由度振動系を想定し,式で示します.
物体の質量を,粘性減衰係数を,ばね定数を,時刻を,静的釣合の位置からの変位を,物体に作用する方向の力を外力をとするとき,

.   (1)

1自由度振動系

ニュートンの第二法則より,

なので,式(1)は,

   (2)

 


となります.

和田先生
はい,ありがとうございます.
これを解けばいいのですが,今は,外力は0としましょう.
ゆっくりでいいので解いていってください.
こっしー君
わかりました.では,

   (3)

 

を解いてみます.係数を減らすために両辺をで割り,係数を整えます.

   (4)

ここで,

   (5)

 


としました.これを解くために,二つの初期条件を設定します.

今は,

とし,実定数とします.
式(4)は,正確には2階の斉次定数係数線形常微分方程式と呼ばれている比較的簡単な微分方程式です.

和田先生
数学的には,解の存在を示す必要がありますが,ここでは存在するとし,その解は線形独立な2つの解空間の基底(基本解)で構成されることを使います.要するに,比例関係にない2つの基本解の定数倍を含む和で表せることを既知とするというわけです.すなわち,およびが基本解だとするとき,定数をおよびとし,解は,

と表せることを使います.
次回は,この微分方程式を解いてみましょう.

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和田先生のプロフィール

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TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.

こっしー君のプロフィール

越田さん120

TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.