自由振動

和田先生
こんにちは.
前回の「振動をつむぐ,中学校の数学」では,中学校や高等学校で学ぶ二次方程式振動現象の本質的なところに関わっているというお話をしました.

その時,1自由度振動系を想定し,以下の運動方程式を考えました(「振動現象をつむぐ,中学校の数学2」の式(2)).

(1)

「振動をつむぐ,中学校の数学」では,この式の右辺が0の場合を考えました(「振動現象をつむぐ,中学校の数学2」の式(3)).

(2)

この式を置きなおして,

(3)

として,二次方程式(「振動現象をつむぐ,中学校の数学3」の式(6)),

(4)

を用いて場合分けをし,この二次方程式の判別式の性質によって,3通りの現象が導き出せるというものでした.

こっしー君
覚えています.たしか, によって場合分けされていたのでした.

一般解は,

(Ⅰ) のとき(「振動現象をつむぐ,中学校の数学4」の式(10)),

(5)

(Ⅱ) のとき(「振動現象をつむぐ,中学校の数学4」の式(8)),

(6)

(Ⅲ) のとき(「振動現象をつむぐ,中学校の数学5」の式(23)

(7)

でした.

和田先生
そうです.
そして,

(Ⅰ) のときは,過減衰となり,無周期運動,

(Ⅱ) のときは,臨界減衰となり,同じく,無周期運動でしたが,

(Ⅲ) のときは,減衰周期運動となり,この場合が最もよく目にする振動現象を表していました.

私たちは,この(Ⅲ)の場合に注目してお話を続けることにしましょう.
(Ⅲ)の場合の式(7)で表されている振動は,減衰自由振動とよばれています.

振動現象の,自己

和田先生
「自由」という言葉が冠されていますが,これは,考えている「系(system)」

image1

に外力が作用しないという意味として使っています.
従って,起こる振動に関係するもの,これをパラメータと呼んでいますが,これが系内のものに限定されていることになります.
平たく言えば,系自身に固有の力学的性質にのみ左右される振動であるということです.その意味では「振動現象の自己」というように呼んでもいいのではないでしょうか.

こっしー君
「系自身に固有の力学的性質」とは,何でしょうか.
和田先生
代表的には,

・固有角振動数
・減衰比

です.

固有角振動数とは,振動系がみな持っている振動系に固有の角振動数のことです.
式(7) のことです.

減衰比とは,ある固有角振動数を持つ系の振動の大きさ(振幅)が減少していく程度を表すもので,式(7) のことです.
は減衰係数比と呼ばれることもあります.

この2つのパラメータは,振動を語る上でとても重要なものです.

こっしー君
わかりました.忘れないようにし,また,よく理解していきたいと思います.

ところで,今回は「振動現象の,自己と他者」という題目になっていますが,どのような展開になっていくのでしょうか.

和田先生
それでは,それについて次回お話しましょう.
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和田先生のプロフィール

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TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.

こっしー君のプロフィール

越田さん120

TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.