周期関数

和田先生
こんにちは.今回から再び振動論の話しをしていきます.
こっしー君
よろしくお願いします.
和田先生
以前の「振動現象の,自己と他者」では,1自由度振動系を想定し,以下の運動方程式を考えました.(「振動現象の,自己と他者」1回の式(1))

      (1)

このとき,外力として,

      (2)

を考え,式(1)

      (3)

として考えました.ここで, ω周期的外力角振動数です.この周期 T=2π/ω で外力は周期変動をします.

今回は,加えられる外力が,周期 T=2π/ω を持つのですが,その関数形が初等関数では,すぐには表せない場合について考えます.たとえば,

image1 複雑な周期波形
のような時系列変動波形の場合は,周期 T はもちますが,初等関数で簡単には表現できません.これが,今回お話しする「ちょっと変わった」他者になります.
こっしー君
どのようにしていきましょうか.周期的ではありますが,この波形を,初等的関数 sin”,cos”,e を用いて表すことは簡単にはできないように思います.
和田先生
データとして, F(t) の値があれば,専用のソフトを用いることができる場合があります.ここではできるだけ解析的に解くことを考えたいので,このような場合は,一般的には,外力 F(t)フーリエ級数展開することで解析的に式(1)を解くことができます.

フーリエ級数

こっしー君
フーリエ級数ですか.
フーリエは人の名前で,Jean Baptiste Joseph Fourier(ジャン・バティスト・ジョゼフ・フーリエ)といい,1768年3月21日-1830年5月16日に活躍した,フランスの数学者・物理学者でしたね.

固体の熱伝導についての研究より熱伝導方程式(フーリエの方程式)を導きだし,この方程式を解くために「フーリエ解析」という方法を作りだしました.フーリエ解析は複雑な波形を取り扱いやすくすることができます.そのため,振動や波動に関連した研究のみならず,データ処理など多くの分野で利用されており,調和解析という数学の一分野を形成するまでになっています.
和田先生
さすが,よく知っていますね.
そうですね.この「フーリエ解析」はなかなか興味深い分野です.「熱伝導解析」や「波動解析」については,別の機会にお話ししましょう.

「フーリエ級数」は応用範囲が広く,特に,微分方程式を解くときに力を発揮してくれます.では,フーリエ級数について説明してください.
こっしー君
わかりました.

(定義)

関数 F(t) が区間 (c-L, c+L ) で定義され,この区間の外では, N を任意の整数として,

      (4)

が成り立つ関数,すなわち, F(t) が周期 2L の周期関数であるとします.このとき, F(t) のフーリエ級数展開は,以下になります.

      (5)

ここで, c を任意の実数とするとき,

         (6)

です. a_nb_n をフーリエ係数と呼んでいます.
和田先生
ありがとうございます.

ここで,いくつか注意点がありますが,次回ということにしましょう.数学的に厳密なお話しではなく,応用上,気をつけなければならない点に絞ってお話しします.

では,宿題を出しておきましょう.
フーリエ級数が収束するための十分条件に,ディリクレの条件というものがあります.それは,どのような条件でしょうか.
こっしー君
わかりました.次回までに調べてみます.
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和田先生のプロフィール

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TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.

こっしー君のプロフィール

越田さん120

TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.

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