微分方程式を解く!?:一般解

和田先生
今回は,前回導いた微分方程式を解いてみましょう.
少し数式が出てきますが,計算過程をとばして結果だけを追いかけても話はつながります.
こっしー君,よろしくお願いいたします.
こっしー君
わかりました.
を未知数,を自然対数の底として,前回導いた微分方程式

   (4)

の解を仮に,

としてみると,

,

これらを,式(4)に代入すると,

が有限の時は, なので,割ることができて,

   (6)

となります.

ここに,「振動現象をつむぐ,中学校の数学1」に出てきた,「二次方程式」が出てきました.

未知数はです.式(6)は解けますので,式(4)も解けることになります.

和田先生
そうですね.
では解いていってください.
こっしー君
式(6)より,

よって,基本解候補は,

,または,  (7)

となります.

線形微分方程式の一般解:微分方程式にも二次方程式の香りが?

和田先生
2階斉次線形常微分方程式の場合は,解空間の基底(基本解)は2つ必要です.少し二次方程式の香りがしますが.

ところが,式(7)で,

とすると,左の基本解候補と右の基本解候補が等しくなってしまうので,基本解候補が一つしか求められません.

これは,二次方程式(6)で,

となり, の重なった一つの実数解に対応しています.
どうしましょうか.

のときの一般解

こっしー君
まずこの基本解候補

式(4)を満たしていることを示します.

より,

式(4)の左辺は,

となり,満たします.

これに対して,もう一つの基本解候補を

とします.

これらは,互いに定数倍で表現できません.

この基本解候補が,式(4)を満たせばもう一つの基本解になれます.

より,式(4)の左辺は

となりますので基本解になれました.

式(4)斉次線形常微分方程式なので,のときは,

   (8)

が解となります.

また,およびは初期値より決定される定数です.

初期値を含めた解(特殊解)はのちほど,書いてみます.

のときの一般解

和田先生
では,次に,

の場合について調べてください.

こっしー君
式(7)左の基本解候補を用いて確認してみます.

.

.

式(4)の左辺に代入して,

となり,式(4)は満たされました.
同様に,式(7)の右の基本解候補でも式(4)は満たされます.
よって,この二つの基本解候補は,互いに定数倍で表現できないので,基本解になります.

式(4)斉次線形常微分方程式なので,式(7)より,

   (9)

が解となります.

式(8)と式(9)を,式(4)の一般解と呼んでいます.
また,およびは初期値より決定される定数です.

初期値を含めた解(特殊解)はのちほど,書いてみます.

和田先生
これで,微分方程式の一般解が求められました.
初期値を代入することで特殊解が求められ,振動の姿が描き出せることになります.

次回は,いよいよ,「二次方程式」の判別式が意味するものについて考えてみましょう.

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和田先生のプロフィール

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TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.

こっしー君のプロフィール

越田さん120

TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.