ケプラーの法則
こっしー君,さっそくですが,前回の宿題,
【問題】
「ケプラーの法則」とはどんなものだったでしょうか.
の解説をお願いします.
ケプラーの法則とは,1609年(第1法則,第2法則)および,1619年(第3法則)にヨハネス・ケプラーが発表した、惑星の運動に関する3つの法則です.
【ケプラーの法則】
第1法則
惑星は,太陽を1つの焦点とする楕円軌道を描く.
ニュートン力学において,中心力により引きあう2体問題の解が,束縛運動であるなら,楕円運動となることが導けます.
第2法則
惑星と太陽を結ぶ線分が単位時間に描く面積は一定である.
これは,ニュートン力学における角運動量保存の法則です.
第3法則
惑星の公転周期の2乗は軌道の長半径の3乗に比例する.
これは,ニュートン力学で導くことができます.
では,第3法則を,ニュートン力学を使って導いてみましょう.
ニュートン力学を使って,ケプラーの第3法則を導く
例によって大体で考えてみてください.
しかし,地球の質量は太陽の質量に比べて無視できるほどに小さいので,ほぼ,太陽の周りを周回しているといえますね.
天体の質量を求める
三角測量などで太陽との距離を求めると,この式で未知なのは だけですので,求められることになります.
すなわち
と求められます.
こっしー君,太陽から地球までの距離で,太陽の質量を計算してみてください.
地球の周りを公転する月を用いると,同様に地球の質量 が
(77)
と求められます.
太陽は地球の約30万倍の質量があることになります.
太陽系の惑星は,一番質量のある木星でも,太陽の質量の1/1000しかないので,ほとんど無視できます.
よって,各惑星の公転の接線方向の速度の2乗 は,式(67)より下図のように,公転半径に反比例することになります.
地球の各物理量を1としたときの値を示しています.
例によって,大体の数字です.
惑星のおもな物理量 | ||||
---|---|---|---|---|
平均半径 | 体積 | 質量 | 表面重力 | |
太陽 | 1.1×102 | 1.3×106 | 3.3×105 | 2.8×10 |
木星 | 1.1×10 | 1.3×103 | 3.2×102 | 2.5 |
土星 | 9.4 | 7.6×102 | 9.5×10 | 1.1 |
天王星 | 4.0 | 6.3×10 | 1.5×10 | 9.0×10-1 |
海王星 | 3.9 | 5.8×10 | 1.7×10 | 1.1 |
地球 | 1.0 | 1.0 | 1.0 | 1.0 |
金星 | 9.5×10-1 | 8.6×10-1 | 8.2×10-1 | 9.0×10-1 |
火星 | 5.3×10-1 | 1.5×10-1 | 1.1×10-1 | 3.8×10-1 |
水星 | 3.8×10-1 | 5.6×10-2 | 5.5×10-2 | 3.8×10-1 |
さて,こっしー君,どんなことが起こるでしょうか?
今回はこのあたりまでにして,続きは次回にしましょう.
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和田先生のプロフィール
TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.
こっしー君のプロフィール
TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.
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