銀河団についてエネルギーで考える

和田先生
こんにちは.和田です.
今回は,銀河団について,エネルギーで考えてみます
こっしー君
よろしくお願いします.
和田先生
式(63) をもう一度描きます.

銀河団全体の質量を注目している銀河の質量をこの銀河の移動速度を銀河団の半径を重力定数をとすると,注目している銀河の力学的エネルギーは,

   (78)

変形させて,

   (79)

   (80)

となります.

ここで,ハッブルの法則式(29) を用います.ここでは,式(29) の代わりに,を用いて,

.   (81)

これを,式(80) に代入すると,

   (82)

ここで,銀河団を球で近似し,半径体積密度 が一定と考えると,銀河団の質量は,

   (83)

となります.これを用いて を消去すると,式(82) は,

   (84)

を左辺にもってきて,

   (85)

ここで,

   (86)

とおくと,式(85) は,

   (87)

となり,これは重力方程式を表しています.

に宇宙の平均密度を用いて,同様の計算を行うとき,宇宙の曲率と呼ばれます.式(86) において,

1. :「開いた宇宙」と呼んでいます.このとき,式(86) より, となるので運動エネルギーが重力の位置エネルギーに勝っており,いつまでも宇宙は膨張することになります.
2. :「閉じた宇宙」と呼んでいます.このとき,式(86) より, となるので重力の位置エネルギーが運動エネルギーに勝っており,いつか宇宙は収縮することになります.
3. :「平坦な宇宙」と呼んでいます.このとき,式(86) より, となるので運動エネルギーと重力の位置エネルギーが等しくなっており,宇宙は最も遅い膨張をすることになります.

空間(3次元)の話は,イメージするのが少し難しいので,平面(2次元)で考えてみます.簡単な方から説明します.

まず,「3.」です.この場合は,「平面」が相当します.平面上の直線は,ユークリッド幾何学でいうところの,「直線」になります.この平面上では,三角形の内角の和は180°になります.下の図は∠直角( =∠ )の直角三角形です.
平面上の三角形
次に,「2.」です.この場合は,「球面」が相当します.球面上の直線は,「」になります.円は閉じていますよね.球面上では,三角形の内角の和は180°より大きくなります.下の図は∠直角より大きくなります
球面上の三角形
最後は,「1.」です.この場合は,「双曲面」が相当します.双曲面上の直線は,「双曲線」になります.双曲線は開いていますよね.双曲面上では,三角形の内角の和は180°より小さくなります.∠ が直角より小さくなります
双曲面上の三角形
詳しくは,非ユークリッド幾何学の成書を参考にしてください.
この, を調べることで,宇宙がどの状態であるかがわかります.

こっしー君
では,この曲率 はどうやって調べるのですか.
和田先生
では,今回の宿題は,「宇宙の曲率の調べ方について」にしましょう.
こっしー君
わかりました.次回までに調べてみます.
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和田先生のプロフィール

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TMCシステムの研究責任者.電子情報通信学会の会員.
電気接点の劣化現象などに関する論文を多数執筆.
プライベートでは,ギター演奏・料理・読書と幅広い趣味を持つ.

こっしー君のプロフィール

越田さん120

TMCシステムの研究担当者.電子情報通信学会の会員.
得意分野は数学と機械工学.
趣味は読書.特技はペン習字.

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